第69回全国高等学校PTA連合会大会京都大会
大会報告
2日間の京都大会が無事終了しました。本県からの参加者数は93団体402人、開催県を除いて全国5位の参加者数で、多くの保護者・教職員等にご参加いただき誠にありがとうございました。天候は、猛暑が予想されましたが2日間とも曇りで、多少の暑さはありましたがまずまずの天気でした。また、両会場は、平安神宮・京都市美術館・国立近代美術館に隣接し、市立動物園や広い公園もあり、観光客や市民が集まる良い場所でした。 大会日程は、第1日目は開会式・表彰式と分科会、第2日目は記念講演、分科会報告と閉会式で構成され、2日間とも開始前の地元の高校生によるアトラクションが大会の雰囲気を盛り上げていました。また、今年企画された「京都ならではのプログラム」や「視察研修」も人気が高く、多くの参加希望者がいたようです。今年の大会は2施設8会場で行われたため、全体会は各会場への映像配信となりました。
開会式では、はじめに大会実行委員長、全国高P連会長の挨拶、続いて来賓の文部科学副大臣、復興副大臣、京都府知事、京都市長の挨拶がありました。開会式の中の表彰式では、本県から団体の部として、静岡県立磐田農業高等学校PTAと静岡県立御殿場特別支援学校PTAが、個人の部として静岡県立吉原高等学校PTA顧問(静岡県高P連副会長)の望月美奈子氏が表彰を受けました。 (表彰理由は後述)
分科会は事前の希望により6つに分かれ、基調講演とパネルディスカッション、小グループの意見交換会など、テーマについて話や参加者の意見交換などが行われました。(各内容について分科会報告参照)
第一日目の日程終了後、静岡県高P連独自の情報交換会が、ANAクラウンパレスホテルで開催され、215名の保護者・教職員の方が参加しました。はじめに高P連小山会長の挨拶、続いて県教委社会教育課長と県校長協会長の来賓挨拶、全国表彰者の紹介が行われ、その後は学校の枠を超えて参加者全員が楽しく情報交換の時間を過ごすことができました。
2日目の記念講演では、企業経営者兼大学理事長である講師から学校教育、特に大学などの高等教育における課題の提起がありました。今の大学の課題は3つあり、卒業しても①英語を話すことができない。他の国では子供でも英語を話すので英語は学問とは違う。書くことの前に話すことが大切。②専門性が身についていない。会社に入っても、経理や財務などの実務ができない。③礼儀作法が身についていない。また、自社の社員の経歴データから、大学の偏差値やブランドは会社に入ったら関係ない。人生100年といわれる時代、理想を高く持って生きること、高い目標を立て実現することが大切であると、自身の成育歴や会社設立からの経験をもとに、母親の子どもへの対応も含め熱く語られました。分科会報告の後の閉会式では、大会実行委員長から感謝とお礼の挨拶と来年度の島根大会への引継ぎが行われました。
さて、今大会から、1日目の午後からの開催、2日目の昼に閉会となり、従来延べ1日半の大会期間が延べ1日に短縮されました。これは、来年の全国大会「島根大会」が70回目の節目を迎えるあたり、時代に合わせた大会運営にしようと全国高P連で「全国大会ガイドライン」を改めたことによります。そして、今年の京都大会は京都府・市Pの協力によるプレ運用的な位置付けとなる大会となりました。最も大きな変更は、地域による会場確保の困難さや会場費の出費を考慮し、無理に1会場1万人規模でなくてもよいとしました、今回は同エリア内にある2会場での準分散型での試行でしたが、来年度の島根大会は、離れた4会場での完全な分散型になります。それは通信技術の進展によってネット配信での同時開催が可能になったことによります。また、分科会はそれぞれのテーマ設定をより今日的な課題にフォーカスした内容に変え、同時に6分科会に凝縮したとのことです。
テーマ
メインテーマ 「 Kyoから! 未来を拓く 」サブテーマ ~ 受け継ぎ、創る新たなストーリー ~
期 日
令和元年8月22日(木)~23日(金)会 場
全体会・分科会 「京都市勧業館みやこめっせ」及び「ロームシアター京都」主 催
一般社団法人全国高等学校PTA連合会主 管
京都府立高等学校PTA連合会、京都市立高等学校PTA連絡協議会参加者数
10,330人(静岡県402人を含む)日 程
第一日目 8月22日(木)13:00 ~13:20 |
アトラクション① | 高等学校吹奏楽部による演奏 京都府立工業高等学校吹奏楽部「Mambou Jazz Band」 |
13:30 ~14:30 |
開会式 | 司会(田野尻 恵美:高P連OB) |
開式の辞 | 実行副委員長 中川 ひろみ | |
国歌斉唱 | ||
開会のあいさつ | 第69回全国高等学校PTA連合会大会京都大会実行委員長 奥野 貴史 | |
大会会長式辞 | 一般社団法人全国高等学校PTA連合会 会長 牧田 和樹 | |
来賓祝辞 | 文部科学副大臣 永岡 桂子 復興副大臣 橘 慶一郎 京都府知事 西脇 隆俊 京都市長 門川 大作 |
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来賓紹介 | (祝辞の4人) | |
表彰式 | 令和元年度優良PTA文部科学大臣表彰 27団体 第69回 全国大会会長表彰 個人部門 69人 ○静岡県 静岡県立吉原高等学校(県高P連副会長) 望月 美奈子 氏 (表彰理由) 伝統校である吉原高校のPTA正副会長を務め、PTA活動の活性化に尽力した。また、平成29年度第67回全国高P連静岡大会では、大会副実行委員長として企画・運営に関わり大会の成功に大きく貢献した。 第69回 全国大会会長表彰 団体部門 76団体 ○静岡県立磐田農業高等学校PTA 寺田 祐一郎 (表彰理由) 各委員会で朝の声掛け運動、大学や事業所等への視察、学校保健委員会への参加、文化祭における餅つき、生徒との学校林整備など、学校運営への支援及び地域に開かれた活動を積極的に推進した。 ○静岡県立御殿場特別支援学校PTA 遠藤 繁子 (表彰理由) 平成27年から体験活動「ごとくぷれジョブ」を運営している。これは、児童生徒が地域の企業や店舗でサポーターとともに仕事体験を行う活動で、PTAが主体となり、地域や企業等と連携して運営しており、全国的に注目されている。 |
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閉式の辞 | 実行副委員長 山本 純 | |
14:30 ~17:30 |
第1分科会 テーマ「〈よくできる〉とはどういうことか? ~大学は、自分の可能性を見つける場である」 形式:基調講演とパネルディスカッション 基調講演 演題 テーマについて 講師 永田 和宏 氏 歌人、京都産業大学総合生命科学部教授、タンパク質動態研究所長 京都大学名誉教授、宮中歌会始詠進歌選者、紫綬褒章受賞 |
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第2分科会 テーマ「子どもたちを育む環境づくり ~地域社会の現状と次世代を見据えて~」 形式:小グループの意見交換会 6人程度の小グループで意見交換する。途中でシャッフルして多くの参加者と交流した。 |
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第3分科会 テーマ「すぐそこの未来のしごと ~ともに考える Society5.0において求められる人材像、学びの在り方~」 形式:基調講演とパネルディスカッション 講師 片岡 宏二 氏 株式会社片岡製作所 代表取締社長 加藤 理啓 氏 Classi株式会社 代表取締副社長 中川 芳一 氏 岡山大学全学教育・学生支援機構 准教授 |
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第4分科会 テーマ「高校生の人間関係について考える ~高校生の本音を聞いてみませんか?~」 ~ともに考える Society5.0において求められる人材像、学びの在り方~」 形式:基調講演とパネルディスカッション 講師 原 清治 氏 佛教大学副学長・教育学部教授 パネリスト・司会者 京都府立高校 平成30年度卒業生6名 |
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第5分科会 テーマ「情報教育を体験する ~現代の子どもが学ぶ情報教育を体験してみませんか?~」 形式:講演とパネルディスカッション 講師 西尾 勇気 氏 LINE株式会社 公共政策室 社会連携(CSR)チームマネージャー 髙橋 誠 氏 LINE株式会社 公共政策室 行政イノベーション支援チーム 石原 友信 氏 LINE株式会社 公共政策室 SDGsタスクフォース長 |
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第6分科会 テーマ「我が子の進路選択にどう向き合う?」 ~入試が変わる、授業が変わる…動き出した教育改革~」 形式:講演 講師 山下 真司 氏 リクルート「キャリアガイダンス」編集長 石田 勝紀 氏 一般社団法人教育デザインラボ 代表理事 |
第二日目 8月23日(金)
9:10 ~9:30 |
アトラクション② | 京都市立塔南高等学校 吹奏楽 塔南マーチングバンド・ザ・グリフォンズ |
9:30 ~9:50 |
アトラクション③ | 京都府立鳥羽高等学校 披講研究部 披講:和歌を節をつけて詠み上げる |
9:50 ~11:20 |
記念講演 | 演題 学校教育・家庭教育に思うこと 講師 永守 重信 氏 日本電産株式会社代表取締役会長(CEO) 京都先端科学大学等を運営する学校法人 理事長 |
11:35 ~11:55 |
第1分科会 報告 |
(2,419人参加) 全国高P連 理事 井 重宏 テーマに沿って、意味深く笑いのある和やかな講演であった。テーマの「よくできるとは」、与えられた課題に対し「いかに答えられるか」ではなく「いかに問うか」。問題解決能力ではなく、問題発掘力が大切である。高校までは学習でいいが、大学では学問である。学問とは、学んで問い直すこと。なぜ学問をするのかは、自分はできるんだという自信をつけること。歌人としては「ことばの力」が重要、いろいろな思いをしっかり伝えることが大切という内容。私たち親も子どもと同じように伝える力の重要性を実感した。 |
第2分科会 報告 |
(600人参加) 全国高P連 理事 西河 昌孝 「京都みやこカフェ」というスタイルで2つの会場で行った。最初から活気ある意見交換が行われた。結果・結論を求めるものではないグループディスカッションであたったため、多様な意見が出た。北海道から沖縄までの親が同じグループで色々な情報を交換ができたことは意味深かった。振り返りでは、参加者から挙手が相次ぎ、時間を大幅に延長したが、参加者の満足度は高かった。会場にはBGMで祇園囃子が流れ、お祭の雰囲気もあり、会場の雰囲気を和らげ京都らしい分科会となった。 |
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第3分科会 報告 |
(1,333人参加) 全国高P連 理事 安食 克彦 2つの講演の後、学習補助ツールのClassiを使って、コーディネーターの仕切りによるディスカッション が行われた。AIなどの新しい技術が進展し、Society5.0の社会が到来する世の中で、子どもに求められる資質や仕事そのものの変化についてのお話をいただいた。講師からは、「体験させる環境を整えること」、「自分から物事をやる能動性を身に付けること」の大切さが提言された。まとめとして、体験・経験・学びのサイクル、Antification・Action・Refrection、「見通し、行動、振り返り」のサイクルを提案いただいた。参加者も一体となった分科会であった。 |
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第4分科会 報告 |
(1,803人参加) 全国高P連 理事 大澤 栄一郎 講演の後、テーマに沿って1時間パネルディスカッションを行った。ゲストとして、元高校3年生、現大学1年生の5名の方にパネリストとして参加いただき、高校生の本音を引き出していくという形で進められた。まず、親との人間関係、友人との人間関係、学校での先生との人間関係について、いくつかの課題などが出された。家庭では、授業料のことを言われるといやだとか、友人関係では、友人と同じ方向をなかなか導き出すことができなかったとか、高校生の本音を聞くことができた。全体として、答えを出すということではなく、問いかけという形で終わった部分もあるが、今後の参考になったと思う。 |
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第5分科会 報告 |
(1,263人参加) 全国高P連 理事 黒田 仁志 協賛団体に運営を任せるという形で行われた。SNSを代表するLINE株式会社から情報教育を体験するという形で、主にワークショップの形態で3部に分けてお話をしていただいた。1部では情報教育についてとそれ以外に防災にも役立てるということも体験した。情報教育についてはLINEのホームページで見ていただきたい。感想としてSNSは人と人を結びつけているように思えるが、一つのコンテンツとして考えた場合、送り手と受け手の感情のすれ違いが起こる。やはり、SNSを使う時は、より顔と顔を合わせてのコミュニケーションが大事あることを感じた。 |
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第6分科会 報告 |
(1,802人参加) 全国高P連 理事 松下 妙子 企業の方に運営をお願いした。75分ずつ二人の講師からお話を聞いたが、二人とも時間が足りないくらい内容の深いものであった。一人の講師から3つの大きな話題提供があった。 一つ目は子どもたちが歩むこれからの社会はどんな社会になるか、二つ目は高等教育・入試制度が変わる新しい時代にふさわしい高大接続の実現について。どちらも細かいデータをもとにわかりやすく説明していただいた。三つ目はこれからを生きる子どもたちに保護者としてどう関わるか。これまでの知識偏重という学力観が変わっていく中で、学校が教科学習だけでなく、様々な体験活動や探究学習をしていくことが必要であり、親はPTA活動を通して支えていかなければならない。家庭内のコミュニケーションも大事である。子どもの相談する相手は母親が8割を占め、記念講演の永守講師の話と同様に、母親の影響力の大きさを改めて感じた。もう一人の講師からは、子どもたちの地頭の強さをパソコンのOSにたとえて、OSのスペックが高いとどんなソフトウェアにも対応する、子どもたちのスペック、OSを強くするには、親の言葉かけ、言葉の力が大事。特別な言葉でなくても「ありがとう」「いいね」「たすかるよ」などという簡単な言葉を、親がいらいらしないで、親のモチベーションを上げて使っていく、それも、さりげなく使っていくことが大事。全体を通して、子どもの学びの機会を学校だけに任せてはいけない。親も学校を支えながら、わが子の可能性を信じて、コミュニケーションを深める姿勢を心掛けなければいけないことと感じた。 |
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11:55 ~12:35 |
閉会式 | |
開式の辞 | 実行副委員長 濵本 康夫 | |
大会会長挨拶 | 全国高P連会長 牧田 和樹 | |
全国高P連旗返還 | 実行委員長 奥野 貴史 | |
全国高P連旗授与 | 第70回島根大会実行委員長 大屋 光宏 | |
次期開催地挨拶 | 第70回島根大会実行委員長 大屋 光宏 | |
実行委員長挨拶 | 実行委員長 奥野 貴史 | |
閉式の辞 | 実行副委員長 中川 ひろみ |
第1日目 8月22日(木)
ロームシアター京都 |
京都勧業館「みやこめっせ」 |
アトラクション |
他会場へ映像配信 |
開会式 |
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実行委員長挨拶 |
高P連会長挨拶 |
祝辞 文部科学副大臣 |
祝辞 復興副大臣 |
祝辞 京都府知事 |
祝辞 京都市長 |
全国表彰 個人の部 |
静岡県 |
代表者が受け取る |
全国表彰 団体の部 |
静岡県 |
受賞団体の代表者 |
テーマ |
第1分科会 基調講演 |
講師 講師 永田 和宏 氏 |
よくできるとは |
初等中等教育では |
職業としての学問 |
第4分科会 |
講師 原 清治 氏 |
学校への行き渋り |
元高校生のパネラー |
第2日目 8月23日(金)
記念講演 講師 永守 重信 氏 |
分科会報告 |
閉会式 全国高P連会長挨拶 |
全国高P連旗返還 |
全国高P連旗授与 |
次期開催地挨拶 |
実行委員会挨拶 |
広報紙展 |
静岡県(清流館、遠江総合) |
おつかれさまでした |